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横浜在住サラリーマン36歳。娘と猫のミウと音楽の話などを中心に駄文を垂れ流します。

くるり 20th ANNIVERSARY コンセプトライブ「NOW AND THEN」

先日(渋谷C.C.Lemonホール改め)渋谷公会堂くるりのライヴに行ってきました。
(なんと渋公、今年で解体なんだね、ガーン・・)

今回は20th ANNIVERSARY コンセプトライブ「NOW AND THEN」 と言うことで、
大好きな1st「さよならストレンジャー」、2nd「図鑑」の再現ライヴでした。

このアルバム、当時から本当に何百回聴いたか分からないくらい聴いてるから、音の一粒一粒、歌詞の一言一言が身体に染み渡ってるの。
何せその頃のおれ19、20歳だもんね。
青春真っ只中に出会った作品だったから自分自身の思い出ともリンクしまくっているんだよね。

当時好きだった人とうまくいかなくて、辛くて辛くて真夜中に図鑑の中の「マーチ」とか「チアノーゼ」「青い空」とか聴きながら部屋で1人号泣したりさ(笑)
今でこそ笑い話にできるけど、当時は本当に胸が苦しかったんだったんだよなぁ・・。
思い返してみれば、素晴らしい青春時代を過ごしたもんだなぁ。

自身の人生の一部に寄り添い続けてくれたそんな2作品を完全再現するライヴってことで、平日開催だけど思わずチケットを取り、会社を定時に飛び出してきました。

(しっかしサラリーマン泣かせの平日18時半きっかりスタート・・毎回思うけどくるりの東京公演は悪意があると思う・・(笑))

しかも一緒に観たのは当時一緒に泣き笑い過ごした親友。
個人的にはもう最高のシチュエーションでした。

ライヴは両アルバムをちゃんと曲順通りに演奏。
「虹」「東京」「街」なんかは今でもライヴで頻繁に聴けるけれども、それ以外の普段のライヴでは絶対にやらないであろうマイナーな(でも粒揃いの)大好きな名曲たちが聴けたのが嬉しかったな。
 
トランペットのファンファンが産休ということもあり奇しくも、当時の編成に近かったし、曲順もそれぞれ音源そのまま演ったけれども、それでもやはりあの時と全く同じということはなく、2015年の今のくるりの音でした。
アレンジどうこうってことだけではなくね。

さよならストレンジャー」の楽曲を聴きながら、「あぁ、これって佐久間(正英)さんプロデュースだったんだよなぁ、やっぱりその手腕は確かだったのだなぁ・・」なんてボンヤリ思ったり、「図鑑」の楽曲聴きながら、「とにかく苛立ってて、尖ってて、本当に若者特有のやり場のない苛立ちの熱量がすごいなぁ。おれが共鳴したのはこれだったんだなぁ」とか、なんかもう本当にしみじみと胸が熱くなりました。
何百回演奏してるだろうに風化しないのはなんでだろうとか、そーいや八代亜紀が「歌い手が曲に感情を込めるのはよくない。敢えて込めないことでその余地に聴き手が自分の想いを重ねられる」(的な)こと言ってたなぁとか、権藤さんの演奏はスマート過ぎて音としては申し分ないんだけど、視覚的な部分ではちょっと今回のくるりと合ってないかもなぁとか。
この曲、あの時あの場所で流れたなぁとか。
この歌詞のこの部分に自分を重ねあわせてしまうんだよなぁとか。
「東京」も「街」もアルバムの中では結構突飛な場所に置かれてるんだなぁとか。(ライヴでは終盤のクライマックスで演奏されることが多いけれど、今回はアルバムの曲順通りだったので中盤で突如流れた感があったのです)
もうグルングルン頭の中で色んな想いが溢れてました。

いやはや・・。
よかった。
本当に素晴らしい時間だったよ。

度重なるメンバーの加入・脱退、作風の毎度驚くほどの変遷、音楽市場を取り巻く状況の激変。
本当にくるりは1度たりとも平坦な道のりを歩いてこなかったよね。
よく解散することなくここまで生き抜いてきたと思うよ。
そしてきっとこれからも荒野を行くのだと思う。

そんな彼らがこの作品たちをもう1度演奏したってのにはすごく意味がある気がする。
決して新作が振るわないから過去の資産にしがみ付いてるわけではないし、きちんと過去を見直すことで、新しい一歩を踏み出したり、また新しい発見があったりするものだもんね。
彼らは「Remember me」とか「奇跡」とかで知った新しいファンがこのライヴ観たら引くんじゃないか?なんて言ってたけど、いやいや最近の楽曲も十分ヘンだから。
(もちろん褒め言葉としてね)

聴くたびに胸が締め付けられる思いになって苦しかった「図鑑」と言うアルバムに対して、今は優しい気持ちで微笑むように作品と接することができるのは、彼らの演奏が変わったからかも知れないし、長い時間の中で自分自身の価値観や作品との距離が変わったということなのかも知れない。色んな憑き物が落ちて、おれの想いも成仏したんだね(笑)
いずれにせよ今もこの作品たちに形の違う感激を与えてもらえていること、それが何より嬉しかったな。
過去をただ懐かしんで終わりっていう回顧主義的なものでなく、
今、そして未来を見据えることができて本当によかった。

それはライヴだけでなく、その友達との関係性みたいなものも含めてね。
変わり続けてるけれども、変わってない。
変わってないけれど、変わってる。
やはり人生ってのはいきなり変わるものではなく地続きだってことなんだと思う。

子供ができてからというもの、これまでアホみたいに行っててライフワークとまで言ってたライヴが全然観られなくなっちゃって、いまだに自由に楽しんでる人たちを横目に見ながら羨ましかったりもするけれど、それでも自分はこうやって新しい世界に突入したんだなぁ、それが素直に嬉しいなぁなんてことも思ったりもするのです。
それも大きな変化ではあるけれど、やっぱり今までの自分の人生から地続きで連なってるんだよなぁ、きっと。

ライヴ後の友達との呑みも、ライヴの感想から過去の話に遡りつつも、やっぱり今の話になるし、フラッシュバックして鮮明に思い出される思い出も、今のそれぞれの生活も同様にもう何もかもが全て愛おしかった。

企画名の「NOW AND THEN」ってのは色んな意味を包み込む絶妙なタイトルだったなぁなんて思いながら帰路に着いたのでした。
 
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